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日常会話から生まれる絶品カレー〈世界アトミ食堂 跡見卓也・翔子〉(後編)

人物百景、第15話は、

行列の絶えない大人気店「世界アトミ食堂」 (大倉山テイクアウト専門カレー) の、跡見 卓也さん跡見 翔子さん(リリィさん)夫婦に、お話を伺ってきました。

「世界アトミ食堂」
跡見 卓也さん
プロフィール:波乱万丈な青春時代を過ごしたのち、日本料理店で修行を積む。
2015年キッチンカー「世界アトミ食堂」を港北区樽町で開店。翌年、大倉山の現店舗でテイクアウト専門カレー店をスタート。
跡見 翔子さん(リリィさん)
プロフィール: 幼いころから大倉山に住み、母の勧めで高校からアメリカへ留学。
英語教師、出産子育てを経て「アトミ食堂」に合流。卓也さんが作るカレーに合う副菜を担当。

お互いが”いい具合”に補完し合って、天才的にうまいカレーを作り出す夫婦の物語。

前編はこちらから

カレーの世界は無限

酒井:「カレーのレシピは、どうやって考えてるんですか?」

2021年7月から始まった、
古民家HUGでの「スパイスとカレーの日」

リリィさん:「はじめの頃は、日本のカレーに梅を入れてとか、コクのある濃厚カレーとか、

いわゆる“日本的なカレー”から抜け出せない考えだったんですけど、

『カレーって、決まった形があるわけじゃない』

ということに気づいてから、とろみのないカレーだったり、魚を使ってみたり、 常識をとっぱらって何でも挑戦してみたんです。

そして使う材料が広がったら、組合わせも広がって、アトミ食堂のカレーの世界が無限に広がっていきました。

そしたら、お客さんも面白がって興味を持ってくれるようになって、、、」

インタビューは終始楽しい時間で、
2時間があっという間に過ぎていきました。

リリィさん:「クラムチャウダーをカレーにしてみたり。イタリアンのペスカトーレをカレーにしてみたり。

”私がアイデアを渡して、彼が形にする” 

という役割ができて、今に至ります。

カレーは“2種類以上のスパイスを使ったもの” と定義する人もいるけど、

もう私たちは良い意味で定義がわからなくなってきていますね。」

アトミさんのカレーは、そのままでも美味しいのですが、
混ぜることで新しい世界が発見できるんです。

跡見さん:「今は、何でもチャレンジしていいんじゃないかな、って思っていますね。

日本料理は基礎がありますが、カレーの世界では基礎を知らない分、今応用しながら土台を作っている感じです。

インドもスリランカもタイも、世界のカレー大国と呼ばれる国のカレーはだいたい作ったし、食べ歩きました。

色んなカレーの作り方があって、材料の使い方も国によって違っていて。

インドのやり方に固執することはないと、今は思っているんです。

インドの食材を使って、タイのやり方で作ったらどうなるんだろう!? みたいな。」

リリィさんの作る副菜も最高に美味しい。

世界に向けてカレーを発信したい

酒井:「“世界アトミ食堂”の店名はどうやって決めたんですか?」

アトミさん:「うちのバターチキンカレーは、タイのやり方で作ってるんですよ。世界のものを取り入れて、世界に向けてカレーを発信していきたいと思って、名づけました。」

リリィさん:「名前を決めたときは、10、20年先に何をやっているのか、本当に見えなかったんです。

でも『世界アトミ食堂』って言ったら、どんな形になっても通るじゃないですか。

今、彼がかっこよく『世界にカレーを…」とか言ってましたけど、、、そんなの後付けでカッコよく言ってるだけですからね(笑)

正直なところ、始まった時はそんな風に考えられてなかったです。

店名を“アトミカレー ” にしちゃったらカレーしかできなくなっちゃうけど、何にでも使えるのが『食堂』だよ!ということで 『世界アトミ食堂』にしました。 」

日常会話から生まれる味

酒井:「一緒に働いていて、良いことは?」

リリィさん:「私が副菜を担当しているのですが、彼にアイディアを渡すと、美味しいカレーにして出してくれるのが、本当にすごいなと思っていて。」

跡見さん:「僕は、”組み合わせる”とか”アイディアを出す”ことが苦手なので、『何と何を混ぜたら』というヒントがないと、同じものを作って、その道を極めてしまうんです。

言わば、“鍛錬型”で、“挑戦型” ではないんですよ。

でも、今はリリィからアイディアをもらって、それをモノにするっていう型が出来ていて、

とても良い関係だと思っています。

週7日、ずっとカレーの話してるんですよ。

ファーストフードの前で、“ゆず七味”っていう新商品の看板を見かけたら、『ゆず七味カレー』作ってみようか!?とか、お寿司屋さんで食べながら見つけたメニュー見て、『今度このカレー作ってみよう』とか。

私達の毎日は、本当にそんな感じで。」

跡見さん:「一緒に居て良いのは、常に『うまいものをつくろう会議』ができていることかな。

”会議”じゃなくて、”日常の会話”のなかで出来るからいい。

まぁ、とにかく毎日毎日カレーのことばかり考えています。」

成長させてくれたお客様へ

昔からお世話になっている地元で、本当にあたたかく見守ってもらっているので、このまちに恩返しじゃないけど、何か貢献出来たら、と思ってお店をやり続けてて。

でもじつは、来年(2022年春)から、埼玉にお店を移すことになっていて、、、 地元を去ることになった今、

改めて、この街の人たちが、力になってくれていたと気づくことが多くて、、、

優しい言葉をかけてもらったりすると、この街を離れる寂しさが、日に日に強くなっていますね。

最初は小さなキッチンカーからのスタートで、全然売れなかった時代もあったけど、段々とお客様や取引先が増えていって、

気づいたら、愛されるお店になっていた っていうことが驚きで。

でも、それが地元の自分たちのまちで、すごくよかったなって。

成長させてくださったお客様や、このまちに感謝の気持ちでいっぱいです。

こういう機会を与えてくれたことに感謝です。本当にありがとうございます。

編集後記

大倉山で大人気のテイクアウトカレー店があることを知り即Instagramをフォロー、限られた営業日をチェックして買いに行き、一口食べ、

なんだこれ。カレーとご飯と副菜、全部が全部美味しい。」

と衝撃を受け、そこから毎週食べるほどドハマりしました。

その後、無印さんのイベントの 余白出店候補に、アトミさんの名前が挙がり、

古民家HUGへの出店を、いちファンの私が緊張しながら、

「古民家でイートインイベントを開催していただけないでしょうか‥‥」

とお伺いしたところ、二つ返事で快諾してくださったことが、

古民家HUGの「スパイスとカレーの日」の始まりでした。

毎回違うメニューがいただける
「スパイスとカレーの日」

イベントは予約開始5分で全席完売、当日開始前のミーティングで

「自分がお客様だったら、やってほしいと思うことをやって下さい。

 忙しくて火を噴いてるのは、厨房だけでいいから、ホールはとにかく笑顔で! 

 マスクの下はニヤニヤで、楽しもう!」

という、跡見さんの言葉がとても印象的で。

カレーの美味しさはもちろんですが、ご夫婦の人柄に触れることで更にファンになってしまいました。

「スパイスとカレーの日」のチームアトミ

こういう機会を与えてくれたことに、こうして出逢えたことに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。

世界アトミ食堂
住所 〒222-0037 神奈川県横浜市港北区大倉山1-35-8
WEB https://atomisyokudou.com/
Instagram https://www.instagram.com/atomi_curry_official/

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