菊名からミシュランの星を目指す新進気鋭のイタリアンシェフ〈古賀雅仁〉（後編）

人物百景、第4話は
2017年9月、菊名でオープンした本格イタリアン
「Osteria Italiana COVA」のシェフ古賀雅仁さんに、お話を伺ってきました。

引き続き後編をどうぞ！

1 同年代のシェフの活躍が刺激に
2 コンクール受賞が独立への背中を押すことに
3 将来を見据えたお店作り
4 幸せを感じてもらいたい
5 編集後記

同年代のシェフの活躍が刺激に

カフェの会社では約8年程勤め、
会社全体のシェフという立場になり商品開発やメニュー考案を任されることに。

酒井：すごいですね。順調な料理人生を歩まれたんですね。

「順調ではあったかもしれないですけど、自分のやってることに満足できてなかったです。
　
辞める前は、ほとんど本社で過ごしてフードメニューやレストランメニューを開発したり教育をしていたんですけど、レシピも、料理経験の無いスタッフたちもいたので、あまり奇抜な料理は考えられないし、、、
　
もちろん、その時は本気で真剣にメニューを考えていましたけど、枠に当てはめたメニューを考えるだけでは満足できない自分がいました。」

「その頃は、同年代のシェフの活躍が次から次へと出てくるので
　
『あー、もう・・・』と焦りだけが、どんどん募って
　
とにかく周りと比べることが多かったです。　
同年代の活躍を見て刺激を受けていたので
　
『自分もコンクールに出たい！』
　
という思いが強くなりました。」　

コンクール受賞が独立への背中を押すことに

古賀シェフは、新時代の若き才能を発掘する、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」のブロンズを二度も受賞した経歴の持ち主。
また、若手料理人世界一を決める国際コンクール「サンペレグリノヤングシェフ 2015」の日本代表候補者10名として選抜されるなど、新時代の食を担うシェフとして期待される一人です。

「コンクールの時は、会社で枠に当てはめたメニューを考えていたことの反動で、突き抜けたものが考えられて、作れて、それを認めれ貰える場があったから刺激的で楽しかったです。

コンクール二次審査「追想〜一ツ瀬川の碧に焦がれて〜」は、鮎を丸ごと美味しく食べれる一皿に。

　
今をときめくシェフたちと同じ舞台で戦えるなんて、当時は思ってもみなかったので、
ようやく『ちょっと追いつけたのかな？』と感じられる経験となりました。」

将来を見据えたお店作り

コンクールをきっかけに、独立したい気持ちにスイッチが入った古賀シェフ。

独立１店舗目としては、かなり大きなサイズのお店では？

「そうですね。
でも、店の大きさも席数も明確に『やりたい大きさ』があったんです。お店の今後の成長も考えて、決して小さく成功したいという思いはなかったんです。
　
いつかミシュランで、星を取りたいと思っているし、
一つ星が取れたらそのときは『次は二つ星が取りたい』と思っているかもしれないので、『小さくてもいい』とは思っていませんでした。
　
自分の手の届く範囲できちんと納得いくものをお出し出来て、席も隣と近くて狭い、というのは嫌なので、今後の成長も計算した上で店の大きさは明確に見えていました。」

「当初はもっと早くお店を大きくしてスタッフの数も増やして、と考えてたけど実際は考えてたようにはいかなかったですね。やってみないとわからないことだったし、僕自身の手が及ばなかったのかなと思う部分もあります。
　
それに最初は価格帯も不安だったんです。街の雰囲気からすると高いのかなと、、、
でも、続けていると
　
『待っていました！』
　
と言って喜んで来てくださる方もいて、少しづつお客様が増えて、今はちゃんと受け止めてくださっていると感じています。」

幸せを感じてもらいたい

「私は、お客様や、僕たちとお取引してくれている業者の方たち、そういう、『自分の周りに携わる人たち』が『幸せ』を感じてくれるといいなと思うんです。
　
例えば、生産者さんがうちの評判をネットで見て『卸している食材が美味しいと言ってもらえているんだ』とか、 何かしらの小さな幸せを感じてもらえたら嬉しいですね。
　
うちの店のコンセプトが
『その時、その場所でしか味わえないモダンイタリアン』なので、

年に一回、記念日に使って頂くのも嬉しいし、
何も考えずに軽い気持ちで来て頂くのも嬉しい、

この場に来て、自分の料理を美味しいと感じて、
少しでも幸せになってくれたら嬉しいですね。」