2021年1月に10周年を迎えた『菊名おでかけバス』をご存知でしょうか。

「菊名おでかけバス」とは
菊名おでかけバスは「コミバス市民の会(横浜環境フォーラムが前身)」が、ボランティアで運行・運営をしているもの。

有効だと考えたのが“コミュニティバス”だった。
「おでかけバス」は、毎週火曜日に菊名駅西口をスタートし、
【錦が丘 ~ 富士塚 ~ 篠原の住宅街 ~ 妙蓮寺駅前(OKストア) ~ 菊名駅東口 ~ 港北区役所 ~ 港北図書館前 ~ スタート地点の菊名駅西口】
と、1ルート=45 もの乗車所を、おおよそ45分かけて運行。
このルートは、街にどのようなニーズと運行ルートの可能性があるのかを、実際に徒歩や車で回って、アップデートし続けられています。
驚くことに、年会費1,000円を支払えば、誰もが利用できる仕組み!
※もちろん運営費はこれだけでは足らず、その他、カンパや協賛金等で賄われています。

聞いたことや見かけたことはあるけれど、実態は知らない、、、
という方も多いのではないでしょうか。
私もその一人でしたので、実際の運行に同行試乗させていただき、リアルな現場とその活動を見させていただきました。
週に一度のまとめ買いに利用
一番乗降者が多いという「OKストア前」でおでかけバスを待っていたのは、 ご家族5人暮らしのFさん。

Fさん:「7年程前から、おでかけバスを利用させていただいています。
主人が高齢で息子も仕事で忙しいので、買い物に行くことができる私が、おでかけバスが運行する火曜日に合わせてOKストアに食材をまとめ買いしに来ています。
買い出しだけでなく、通院にも利用させていただいていて、おでかけバスの運行時間に合わせて1日のスケジュールを組んで、お出かけしています。」

荷物を運んだり手を添えながら乗車。
Fさん:「おでかけバスさんの存在は、本当にありがたくて。
皆さん優しく手を差し伸べてくださるので、お手数おかけして悪いなと思いながらも、ありがたく利用させていただいていて、生活にはなくてはならない存在です。」

ボランティアの運転手と添乗員がつく形で、地域の足として運行を続けています。
知人に勧められた試乗がきっかけ
Iさんは、港北区役所への用事に利用。

Iさん:「『おでかけバス』の存在は知っていたけれど、
本当はないのに、勝手に年齢制限があるものだと思い込んでいて、
知り合いに教えてもらって試乗したのが始まりです。
それを機に、OKストアでまとめ買いのする時や通院時、今日みたいに区役所に行く用事の時に利用させてもらっています。」
この日、午後便のドライバーを担当されていたのは、女性初のドライバーとして2021年11月よりボランティア活動に参加されている、熊崎さん。

熊崎さん:「知り合いから、おでかけバスのドライバーの人手が足りていないことを聞き、試乗したときに、ドライバーさんと添乗員さんの忙しさを目の当たりにして。
でも、どちらかと言うと添乗員さんの方が大変そうだから(笑)ドライバーに名乗り出させてもらったんです。」

とても明るいことが印象的でした。
運営を続ける中で直面している問題のひとつが“ ボランティアスタッフの高齢化 ”
現在、ボランティアのドライバーさんは70歳を超えた方が8名中6名いらっしゃるのですが、ドライバーの年齢制限は75歳のため、 担い手探しが急務になっていると言います。
おでかけのきっかけになる
最後に同乗させていただいたのは、小さなお子さんのママOさん。

Oさん:「出産をして4か月ほどした頃がちょうど8月の暑い時期で、
菊名にある「親子のひろばびーのびーの」に行くのに、とにかく暑くて。この辺は、どこに行くにも坂の上り下りがあるし困ったな。と思っていたら、
電信柱に“お気軽にご連絡ください”と書いてあるのを見つけて、電話をして試乗をしたら『いいな』と思ってその時に入会を決めました。」

Oさん:「重いものやオムツなど、一人だと難しい買い物ができるようになりました。子供の検診で区役所に行くときにも使わせていただいていたりと、本当に助かります。
コロナになって、予約制になったことが私には合っていて。子供がいると、つい外出がおっくうに思ってしまう時があるのですが、予約したからちゃんとおでかけしよう!という気持ちにさせてもらえるんです。」

Oさん:「お出かけバスのみなさんが、子供のことを孫のように可愛がってくださるのが、何より嬉しくて。おじいちゃん、おばあちゃんが近くに沢山いてくれるような感覚です。
私のような利用者は他にいないので、ママ友に話して子供連れの方の利用者さんが増えていけばいいなと思っています。」
持続していくこと
共同代表山田さん:「車社会による大気汚染を改善したい想いから、コミュニティバスに注目して活動を続け、自分たちのできることを考えて進めてきた10年でした。
最近ですと、コロナをきっかけに運行が2か月停止されたこともありましたが、10年間運行を続けてこれたことは、とても嬉しいことです。
現在、会員は90名ほど。その半数は、利用を目的としている方ではなく、この活動を支援するために支えてくださっているんです。
利用者と支えて、ボランティアが一緒になって、自分たちの生活をつくること。がんばりすぎずにずっと継続していけるよう、これからも歩みを進めたいと思っています。」

中央:添乗員 古田 基純 さん
右:女性初ドライバー 熊崎 範子 さん
コミバス市民の会・菊名おでかけバス
●webサイト https://sites.google.com/view/kikuna-odekake
●ボランティア募集中
https://sites.google.com/view/kikuna-odekake/%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E5%8B%9F%E9%9B%86?authuser=0